多摩川水系、上水めぐりの決定版
おすすめ書籍のご案内です。
今回ご紹介するのは、多摩川や玉川上水などの水路について、実際に自分の足で現地に赴き考察した一冊。
武蔵野・江戸を潤した多摩川: 多摩川・上水徒歩思考 (ルーラルブックス)
農山漁村文化協会
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本書の構成は二部構成になっていて、前半の「第一部」で羽田の河口から多摩川源流までを巡り、
後半の「第二部」では玉川上水や野火止用水、青山上水、三田上水、千川上水などの水路を巡ります。
多摩川関連の書籍を集めて端から読んでいると、「河口から源流を巡る(もしくはその逆)」系のコンテンツって意外と多いんです。
以前紹介した『多摩川飲み下り』(←これは酒好きなら必読です。)や、多摩川の自然観察系の本や、自転車系の本など。
今回の一冊は、多摩川水系の水路巡りの決定版とも言える内容で、
一つの水路(上水や用水)について、現地を歩きながら地形的な観察や、開削当時の文献をもとにした推察を交えて展開していきます。
多摩川に関しては多少予備知識があったので、ふむふむ、ああ、ここらへんか、という感じで頭の中の地図を広げて読み進めることができました。
一方、玉川上水やその他分水系に関しては、正直まだそこまで知識を持ち合わせていなかったので、その都度地図を見たりしながら読んでいく感じでした。
途中、実際に玉川上水の終着点にも行ってみました。(詳細は以前の記事をご参照)
この後半部分、読んでいて面白かったのが、多摩川から分水されている上水それぞれ、キャラクターといいますか、個性のようなものが際立っている点。
例えば、
青山上水は地味な封建色の強い水路であったようで、町民できな色彩が乏しいようにみえる。
三田上水(用水)、千川上水(用水)については、都市と農村、工業と農業の水利権から生じた村騒動などから、それぞれ公共的役割を十分果たしているように思われる。
三田上水は山手と下町を通っていたためか、多様な歴史を持っていて、ビール製造や火薬工場の動力源、農業水利権の解釈、農学校、文学、庭園芸術への関わりは文化史上、著しいものがある。
というように、水路の成り立ちや利用のされ方によって、多様な個性を備えているんですね。
水路がその土地の文化や歴史を物語ってくれるよう。
また、「暗渠」に関する興味関心も、この本は掻き立ててくれました。
ハマりそうだから
そこまで、そっち系に時間は割けないから
と今まであえて封印してきましたが、気づいたらAmazonで『東京暗渠学
』をポチっていました。
暗渠のみなさま、こんにちは。
今回紹介した一冊は、暗渠好きの方にもおすすめですので、是非ご一読下さい。
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