東京都八王子から日野を経由して多摩川に合流する支流「浅川」。今回は浅川のはじまりの場所「上流端」から、多摩川本流を目指す冒険に出かけることにしました。距離にしてだいたい35km。無理せず、だらだら走りながら浅川を下るため、まずは浅川の「上流端」まで自宅から電車とバスを駆使して目指します。
ここが「上流端」近くのバス停「陣馬高原下」。JR高尾駅からバスが出ていて、40分くらい乗車してようやく到着しました。周りはみな登山客ばかりで、せっかく登った道を下ろうとするのは僕だけでした笑。
場所はこのあたり。
浅川の上流部は「北浅川」と「南浅川」に別れますが、浅川の上流端はは「北浅川」にあります。
周りの景色は、まさに今、春が来た!という感じの里山。
渓流部の美しい川沿いの道を下っていくと、古い建物がそこら中で目に付きます。
前に秋川の上流を走ったときは、川沿いに「悠々自適な暮らしを手に入れた」的な、最近の家々がたくさんあったが、浅川上流にはめちゃくちゃ古い建築や石碑がたくさん。 pic.twitter.com/i9IwnLtheq
— 多摩川を愛でる会(古畑) (@TamagawaLovers) April 9, 2022
こうした石碑や看板などもたくさん。古くからこの辺りが重要な要所だったということが伝わってきます。
しばらく進むと、夕焼小焼の歌碑が。なんと、童謡『夕焼小焼』を作詞した中村雨紅の生家が近くにあるそう。
なんでも、このあたり(東京都八王子市上恩方町)の風景が『夕焼小焼』のモデルになったんだそうで、近くには「夕焼け小焼けの里」という施設もありました。
北浅川恩方ます釣場。朝早くから割とたくさんの釣り人で賑わっています。
更に下ると、以前Twitterでフォロワーさんから教えていただいた「八王子流れ橋」の姿が…!
大楽寺町~西寺方町大幡地区の市民が行き交う橋でしたが、昭和30年代に制定された河川法で「違法建築」とされてしまい、その後も住民が東京都に正式な橋を架けられるよう署名活動などを通じて訴えかけを行ってきましたが、主に費用面の都合で結局今に至るそう。
足場を組んだような「流れ橋」。私も自己責任で横断。少し揺れますが作りは頑丈なよう。橋の真ん中から眺める北浅川の様子は絶景です。
違法建築ですが、農家さんや犬の散歩をする方、自転車に乗った小学生が頻繁に往来していました。主要な幹線道路でなくとも、流域市民にとってはゆかりある橋なのでなんとか合法的なものになってもらいたい…と願い後にしました。
できるだけ川に沿って下っていきたいので、ときに道路をはずれて獣道のような道を走るのですが、ここ、北浅川の上流部を走っていると高確率で畑に迷い込んでしまいます。
多摩川下流部にも畑があるエリアはありますが、それとは比較できないくらいの畑遭遇率の高さ。
辺りには河川事務所が設置した「警告」という看板があちこちに。先程の「流れ橋」といい、この畑といい、なんだか北浅川の上流部は河川利用が自由な雰囲気がある(良い意味で言ってます)。
また少し下流へ行くと住宅地も増えてきます。とはいえ、ゆったりとした雰囲気が、流れる時間の速さをゆっくりさせているような感じの良い場所。
住宅の間を縫うようにして北浅川系の水路があることからも、河川と人の距離の近さを感じます。
北浅川と南浅川が合流するポイント付近。川底に古い地層が露出していて、独特の景色を作っていました。あまり知らなかったけれど、メタセコイア化石林という貴重な化石があるんだとか。もっと近くで見ておけばよかった…
そろそろ足も疲れてきて、お腹も減ってきた。ので、事前に教えてもらったラーメン屋さんに立ち寄り休憩。麻辣が効いたピリ辛しびれる系のラーメンをいただく。麻辣好きなのでこれはタマラナイ!
浅川をめぐる冒険の途中、ランチで立ち寄ったのが高幡橋北にあるマラマラというラーメン屋さん。
— 多摩川を愛でる会(古畑) (@TamagawaLovers) April 9, 2022
麻辣がビシッと効いたラーメンがめちゃくちゃ美味しかったです!
教えていただいた@yuichi_yoko さん、ありがとうございます!😆 pic.twitter.com/jg8YY8TLSx
口の中を麻痺させながら、浅川へ復帰。川の水もきれいで河川敷の景色も美しいんだけど、対岸を見ると無数の家々が立ち並んでいてびっくり。
さらに下流へ。住民に愛される万願寺歩道橋、通称「ふれあい橋」。河川にかかる歩道橋って、景勝地とか渓流部では見られるけど、こういう場所にかかっているのは珍しいような。
なんとなく、つい数時間前に見た「八王子流れ橋」を思い出しながら橋を渡る。
橋を渡り数十分歩くといよいよ多摩川本流と合流するポイントへ。
左が浅川、右が多摩川本流。そして真ん中が多様な生きものが生息することで有名な「多摩川デルタ」。
上流端から合流地点までだいたい35km。普段、ほどよくランニングなどをしていますが、序盤の下り道で膝に負担がかかってしまったらしく、走っては歩き、走っては歩き、の繰り返しでようやくゴールにたどり着きました。
浅川の印象は、なんといっても美しい水。排水が含まれない渓流の美しさに目を奪われました。あとはやっぱり流れ橋。歴史的な変遷や現在に至るまでの住民と自治体のやりとりはこちらのサイトにまとめられていますので、興味がある方は調べてみると良いと思います。
違法建築とされてしまっているのですが、あの辺りの景色はどこか懐かしい気持ちにさせてくれる素敵な場所なので、早く安全で景観にも合った橋ができると良いなと思いました。
支流のめぐる冒険はまだまだ続きます。次回は都市部を流れる「仙川」をめぐります。乞うご期待!