多摩川建物探訪シリーズ
前回の「多摩川石談義」に引き続き、マニアックな記事シリーズ。
今回は、「日本で一番美しい取水塔」を目指して村山貯水池に行ってきました。
東京は東大和市。
西武園ゆうえんちの近くに村山貯水池はあります。
村山貯水池は、多摩川の羽村取水堰から採水し、境浄水場・東村山浄水場へと送水されている東京都水道局の水源のひとつで、1927年に完成しました。
あまり知られていない気がするのですが、他県にまたがらない湖としては都内最大だそうです。
貯水池は西と東に分かれていて、「日本で一番美しい取水塔」は東側の「村山下貯水池」にあります。
取水塔へ行くには、貯水池の水を食い止めている「堤体」の上を歩いて反対側へ渡ります。
ここが「堤体」の入り口。
岸辺には、ユキヤナギが綺麗ん咲いていました。(遠くにぼやけているのが取水塔です)
どこまでも奥に自然が続いていそうな広大な眺め。
東京にいるとは思えないくらいのダイナミックな景色です。
この日はあまり見えなかったのですが、空が澄んでいる季節には多摩川水源地の山々を見ることができるみたい。
貯水池の反対側は東大和市の町並みが広がります。こうして見るとなんだかミニチュア模型のようですね。
さて、お目当ての取水塔が見えてきました。
手前に見えるのが第一取水塔、奥が第二取水塔です。
第一取水塔は1925年完成、第二取水塔は取水量を増やすために戦後新設され、1973年に完成しました。
レンガ造りの壁面とドーム状の屋根、当時流行していたネオルネッサンス様式が用いられています。
正直なところ取水塔自体に詳しくはないので、「日本で一番美しいのか」と問われて「はいそうです」と即答できる自信はないのですが、
背後に広がる広大な自然(正確には人造湖ですけど)をバックに、レトロな西洋建築の塔が建っている景色は、素直に美しいなと感じました。
人の手で作られているのに、人の気配を全く感じないというか、なんともいえない非日常感があります。
同じようなドーム型だと、東京駅(1914年)や原爆ドーム(1915年)を思い起こす方も多いかもしれませんが、それぞれ違う建築様式とのこと。
完成当時は海外からも視察があったそうです。
堤体を渡りきると、村山貯水池を中心とする多摩川マップが。
多摩川から採水して、各浄水場へと送水されていくのがとてもよく分かります。
「日本で一番美しい取水塔」を目指して、はるばる訪れた村山貯水池。
そこには、人の手で作られたダイナミックな自然湖を背景に、たしかに美しい取水塔が静かに佇んでいました。
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後編へ続く(近日公開予定)
村山貯水池へのアクセス
西武多摩湖線・西武山口線「西武多摩湖」駅より徒歩3分。