いつか書いてみたいと思ってた「石」についての話
多摩川で「石探し」
いつからか、私はふと多摩川に出かけて地面をじっと見つけながら、自分のお気に入りの石を探すようになっていました。
長い時間(だいたい2時間くらい)をかけて、ひたすら石を探し続けます。
多摩川には実に様々な石ころが落ちています。
東京にもこんなところがあるんですよ pic.twitter.com/o4h1grljOf
— KAWAOTO (@KAWAOTO_lostart) 2014年1月11日
まだら模様の石や、つるつるしたまあるい石、指で挟むとすぐにぼろぼろ崩れてしまう石。
ついでに言うと、陶器やガラス瓶の破片が石にもまれた「シーガラス」ならぬ「リバーガラス」のようなものもたまにみかけます。
まあるいガラス pic.twitter.com/A9w5ohzNL2
— KAWAOTO (@KAWAOTO_lostart) 2016年2月15日
いろんな石を見渡してみて、その日自分が最も「美しい」と思った石のみを1個だけ持ち帰る。
そんなルールをいつからか決めてこの「石探し」を続けてきました。
そうしてお気に入りの石を時間をかけて見つけることで、自分ならではの「美しさ」を判別する眼を鍛えることができるんじゃないかと思っていたフシもあります。
たまたま見かけた「美の壺」で
我が家では、気になる番組を録りためておいて、食事や休憩時間にそれを観る、というのをよくやるんですが、
そのコンテンツの中でNHKの「美の壺」は毎週録画するくらいの定番番組。
工芸品や建築、自然物まで、実に様々な物の「鑑賞方法」について、草刈さんのコミカル(?)なサイドストーリーを織り交ぜながら進行する、私のお気に入りの番組です。
その「美の壺」で、「石ころ」を取り上げていたんです。
私が思わず「ハッ」としたのが、紀行作家の宮田珠己さんの「石拾い」。
宮田さんも、私のように海に出かけ(私は川ですが)、もくもくと一人で石を拾って気に入ったものを持ち帰る、ということを楽しまれているそうなのです。
自分と同じような同志がいるんだ!と思ったのと同時に、ふと気づいたのが、
「石が欲しいのではなく、石を探す時間を愉しんでいる」
ということ。
VTRの中の宮田さんのコメントで、
「石を探している時間は、特になにも考えていない」
というようなものがありましたが、まさにその通りで、
石探しをしている間は無心になっていることが多いんです。
ある種の「脳内デトックス」のような行為、禅みたいなものに近いのかもしれません。
多摩川と石の話
さて、ここで話は変わりますが、実は多摩川は「石拾い」に最適な河川であるということ、ご存知でしたか。
それは、多摩川は全国的にも希少な「礫河原(れきがわら)」であるということです。
「礫河原」とは
石で覆われた河原。開発や治水事業により全国的に面積が減少している。札内川は礫河原が40㎞にわたって広がる、全国的にも珍しい川。大雨による増水により、河原に落ちた植物の種などが定期的に押し流されることで、礫河原の状態が維持される。(引用:NHK 「さわやか自然百景」より)
(上記の引用は札内川ですが、多摩川も同じ礫河原。最近は河川の開発や治水事業によって、こうした礫河原の面積はどんどん減少しているそうで、礫河原にのみ生息する動植物も同様に絶滅が危惧されています。河川のあるべき姿、という問題についてはあえてここでは触れないことにします。)
多摩川、とくに中流域には他の河川にくらべて石がごろごろ転がっているというわけ。
定期的に増水してリセットされていくので、周囲の景色は目まぐるしく変化します。
秋の台風で流された木が、流れ着いた新天地で生活してました。 pic.twitter.com/cAPoduvdqK
— KAWAOTO (@KAWAOTO_lostart) 2014年1月11日
まるでゲームのステージがコロコロ変わっていくようです。
そんな中で、お気に入りの石を探すために延々と歩き回る「石探し」。
いつもの散策道から、ちょっと川に近づいてお気に入りの石、探してみませんか。