秋めく多摩川を駆ける

ようやく秋らしくなってきた今日この頃。この季節になると夏の間にぼうぼうと茂っていた草木が枯れたり、あるいは狩られているので散策もしやすくなります。

風や、風が運んでくる秋めいた香りが心地よいですよね。季節の移ろいを楽しみながら多摩川沿いを歩いたり、走ったりするのを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。

私も定期的に多摩川に行くようにしていて、よく付近をダラダラとランしています。この日も近所の土手沿いをランしていたのですが、土手から多摩川を眺めいてると・・・

ぼうぼうだった草木が落ち着いて、河原のほうに行きやすくなっています。

秋冬はできるだけこういう道を選んで多摩川に近づくようにしていますが、ここで大切なのはあくまで「ラン」しているということ。

できるだけ立ち止まらずに、ぴょんぴょんはねながら進んでいきます。もちろんじっくり歩いたっていいんですが、そうすると一日中歩いてしまい仕事に戻れなくなってしまう。だから、走る。

たまに倒れた草木が作り出した落とし穴や、行き止まりになったりもするのですが、それが本当に楽しい。誰もいないだろうと思って「わわわ〜〜〜〜〜!!!!」と叫んでみたり。

そしたら、前方から野草を積んでいる女性や犬の散歩をしている男性に遭遇したり。

あるいは、ほぼすっぽんぽんで日光浴をしているおじさんに出会ったり。(このときは本当にちびるかと思った。ぱっと見、死体なんだもの。)

ごくたまに誰かに遭遇するけど、基本的に人間がいない貴重な空間なのも気に入っているポイントの一つなのかもしれないです。

多摩川ジャングルを抜けると、石がゴロゴロ転がる礫(れき)河原ゾーンに入ります。

誰もいない景色を眺めて深呼吸、東京なのに広く感じる空と流れる多摩川。自分の中で滞っている「何か」がどんどん流されていく・・・。この感覚がたまらない。

上流に目をやると二ヶ領宿河原堰。その向こうには小田急線と多摩水道橋。そしてはるか彼方には奥多摩の山々。

はるか彼方の奥多摩に意識を向けた後、次に気になってくるのは足元に転がっている黄色い石(堆積物)。この場所は100数万年前は海底で、実は化石発掘の隠れたエリアでもあります。

体積した層が露出していて、比較的簡単、というか誰でも化石をみつけることができます。あんまり人に言いたくないんだけど。

この日も足元に転がっていた堆積物をひょいと割ってみたら一発で小さな二枚貝の印象化石を見つけることができました。

ああ、俺は今100数万年前に生きた二枚貝に触れている。というか、そもそも100数年万年前に海底だった場所に、「立っている」。そこまで思考を巡らせていくと汗ばんで火照った体は冷め、ランニングが台無しになっていることに気づきます。

そう、あくまでこれは「ランニング」行為の最中なんです。まずいまずい。ついでにいい感じの石ころなんて探し始めてしまったらいよいよ家に帰れなくなる。

そこからはひたすら石がゴロゴロ転がる河原を駆けて、帰り道の土手に復帰します。

・・・というのがこの季節に私がよくなっている多摩川の過ごし方。

多摩川ジャングルの豊かさを体で感じて、視界に誰もいない景色に癒やされ、遥か彼方の奥多摩、古代のロマンに想いを馳せる多摩川ランニング。普段のもやもやした気持ちや、仕事のストレスがたまってきたな・・・と感じたら皆さんもぜひ、近所の多摩川に出掛けてみてください。