土手に生える雑草に目を向けて
著者の中本賢さんといえば、『釣りバカ日誌』に出演されているというイメージが強いので、
なんとなく海のイメージがあるのですが、実は「水辺の楽校・多摩川塾」というフィールドワークを行っている、多摩川にとても関係の深い方なのです。
中本さんの「多摩川クラブ」は、凄まじい情報量で読み応え十分なので是非一度チェックしてみてください。
今回ご紹介するのは、そんな中本さんの著作『多摩川ノート 土手の草花』。
多摩川に自生する95種類の雑草を、季節ごとに紹介。
写真・イラスト・解説が、まるで観察日記のように書き記されていて、多摩川で雑草探しをする楽しさを読んでいる私たちに伝えてくれます。
読んでいると、今まで一度も耳にしたことがない用語にも出くわします。
例えば、
「互生」「対生」「輪生」
という3つの言葉。
植物の葉っぱの付き方を呼ぶ言葉なんですが、
こういう日常では触れることがない難しい言葉も、イラストで分かりやすく説明してくれています。
意外と、食べられる草花が多い
各植物のページには、その植物についての細かな情報が載っているのですが、
びっくりしたのが、意外に「食べられる」草花が多いということ。
たんぽぽとか、つくしなどが食べられるとうことは小さい頃に教わりましたが、
それらはほんの一部で、実際にはかなり多くの「食べられる」草花があるのです。
私が気になっているのが「ノビル」。
春になったら、探しに出かけてみようかなと思います。
目からウロコのコラムも充実
植物の紹介だけでなく、たまに出てくるコラムが秀逸で、まさに目からウロコ状態です。
少し内容を紹介すると、
- ある植物の自生地によって、海と川の〇〇が分かる
- 厳冬期の植物たちがいかに工夫して越冬するか
- 河川と◯◯と災害の関係
などなど。
詳しくは是非実際に本を読んで確かめてください。
本と一緒に多摩川へ行こう!
今は1月。
多摩川は冬真っ盛りで、この本の中に出てくる草花たちに出会えないのが残念ですが、
暖かくなったら本を抱えて多摩川に行き、今までなんとなく通り過ぎてしまっていた、愛すべき雑草たちを観察しに行こうと思います。
多摩川を愛するすべての方に読んでいただきたい一冊です。