多摩川を愛でる人々 インタビュー:「多摩川グッズ」について

2013年から多摩川流域にフォーカスした活動(Facebookページ)を開始。その後、オリジナルグッズの企画販売や、間伐材を使ったワークショップなど幅広い活動を通じて「多摩川」の魅力を伝えてきた「多摩川を愛でる会」。 前回に引き続き「多摩川を愛でる会」の代表、古畑さんにお話を伺っていきます。

古畑 健太郎 Kentaro Furuhata
多摩川を愛でる会 代表 / デザインオフィス ムラハタワークス 代表
東京造形大学卒業後、文具メーカーに勤務。2016年にデザインオフィス ムラハタワークスを設立。

ー何度かお話にも登場しましたが、「多摩川グッズ」について詳しくお聞かせください。

「多摩川グッズ」とは、多摩川にある様々なモチーフを題材にしたプロダクトです。多摩川の流域図が描かれた手ぬぐいやタオル、橋や多摩川の看板の形をしたキーホルダーなどがあります。
基本的には多摩川で使いたい・持っていきたいようなものですね。

ーどうでして作ろうと思ったのですか?

サッカーとかのクラブチームのサポーターグッズって、持っているだけで他のサポーターと一体感が生まれるじゃないですか。それと同じような感じで、例えば「川向かい」などの文化が違う人達同士も「多摩川沿い」ということで一つになれるようなものがあればいいな、って思ったんです。
あと、例えば初対面の人同士でもグッズを持っていることで「あ、あの人多摩川好きなんだ」と気づくことができ、良いコミュニケーションができれば良いなという想いもありました。
僕自身、初対面の人とうまく話をするのが苦手ではあるんですが、「多摩川」っていう共通のテーマがあると割と自然と話ができるんですよね。

昨年檜原村のBBQにお誘いされて、周りに知っている人が0人だったんですけど、そばにいたおっちゃんに多摩川の地図のてぬぐいを見せたら「俺んち、ここだよ」という感じで話が盛り上がって、いろんな会話が生まれました。
多摩川の手ぬぐいの場合は「地図」のデザインなので、色んな会話のきっかけになりやすいんですよね。
おっちゃんみたいに「自分の住んでいる場所は〜」と探したり、「こんなに支流があったのか!」「多摩川って138kmもあるのか!」とか。
これが仮に荒川だったら僕は誰とも話をせずにもくもくと肉を食っていたと思います。まあ、そもそも荒川には行かないのですが。

また、これは購入いただいたお客様のエピソードなのですが、「多摩川Tシャツ」を来てランニングしていたら、なんと向かいから自分と同じ「多摩川Tシャツ」を来て走っている人とすれ違ったんだそうです!

多摩川Tシャツ

その方は妙に親近感を感じた、とおっしゃっていましたが、こういうエピソードを聞くと「作ってよかったなぁ」としみじみ想いますね。

イベント出店してグッズを販売することも多いのですが、ネットショップと違って対面接客になるので、お客さんと色んな「多摩川トーク」ができるんです。たまたま通りかかった年配の女性と多摩川の支流の話ができたり、普段めったに話すことがない高校生たちと多摩川の橋の話をしたり。正直、商売することよりも「多摩川トーク」をすることの方が毎回楽しいですね笑。

昨年は奥多摩から干潟まで色んなエリアに出店したので本当に色んな人に出逢えてました。

出店したときの様子(TAMAGAWA BREW Vol.03)

ー多摩川グッズのコミュニケーション論、興味深いですね。檜原村のおっちゃんのエピソードも素敵。多摩川グッズは手ぬぐいやTシャツなど様々ありますが、デザインや企画面でのこだわりポイントがあったら教えて下さい。

デザインに関しては、基本方針として「まんべんなく、みんなが欲しいな」と思えるデザインを心がけています。
例えば、やろうと思えばもっとニッチでありコアな方向にしていくこともできるんですが、そもそも「多摩川」自体が相当ニッチなので笑

コアな方向で突き詰めていってしまうと、極端な話、僕とか僕に似たような一部の人しか欲しいと思えなくなってしまう。なのであしらい自体は普遍的なものにしています。
多摩川は多分、ずっとあるものだから、時の流れに左右されずずっと使えるものにしたいんです。

当初描いた理想は10代のおしゃれな男女も買ってくれるし、ふらっと犬の散歩に来た70代のおじいさんも買ってくれるようなもの。ありがたいことに販売を始めてから4年目となりますが、まさに老若男女問わず、多摩川好きの方に楽しんで使って頂いています。

商品企画的には、「多摩川の近くで使いたい」「多摩川にゆかりのあるもの」という要素を大切にしています。
例えば、多摩川Tシャツの記事はメッシュ生地でできていて、汗がすぐ乾くのでランニングやウォーキングにすごくおすすめです。
他にも、ステッカーは防水仕様なので、釣りや水遊びをするときのケースとかにも貼れる仕様にしています。

また、製造自体はできる限り「多摩川水系」の企業に委託するようにしています。使う人も、多摩川につながりのあるところで作っている方がより愛着が湧くんじゃないかなと思うんです。まだ実現できていないけど、多摩川タオルを青梅のhotmanさんに作ってもらいたいな〜、なんて。

ー実は私もタオルはhotmanで作ってもらえばいいのに〜と思っていました。今後に期待ですね。ちなみに、イベント出店以外では、普段どこで商品を買えるんですか?

ネットショップ「TAMAGAWA GOODS STORE」で販売しています。
あとは次の店舗で一部商品の取り扱いがあります。

◆ふたこビール醸造所(てぬぐいのみ取り扱いあり)
東京都世田谷区玉川3-13-7 柳小路南角 2F

◆BOOK PORT 中野島店
神奈川県川崎市多摩区中野島1-9-1クリサンテーム中野島1F

◆BOOK PORT 栗平店
神奈川県麻生区栗平2-16-1

ー多摩川グッズは、売上の一部を多摩川に寄付する活動も行っていると伺いました。そのへんも詳しくお聞かせください。

そうなんです。売上の1.38%を全額多摩川流域各地で活動する人々に寄付するようにしています。
1.38%というのは、多摩川の全長距離138kmにちなんでいます。
多摩川のグッズを作って売っているので、どこかで利益は多摩川に還元されるべきだと思ったんですね。

売上の1.38%を全額多摩川流域各地で活動する人々に寄付する「多摩川1.38%プロジェクト」

事務的な手間がかかるので、当初は収益金を公的な団体などにまるっと寄付しようとも思っていたのですが、そうするとお金が何に使ってもらえたのかが見えにくい。
その場合、僕らも不完全燃焼だし、商品を買ってくださるお客さんもなんだか中途半端な気持ちになるんじゃないかなと思ったんです。

なので、毎シーズン、区切りをつけて自分で寄付先を選ぶことにしました。
昨年は二子玉川で活動する水辺デザインネットワークに寄付しました。子どもたちが水辺でガサガサをするときのライフジャケットに役立てて頂いています。

いや・・・、こういうことを言うのは何なんですが、これに関しては誰かに褒めてもらいたいです笑。

ーすごい!素晴らしい!笑

笑。

ーさて、今回のインタビューも終わりに近づいてきました。最後に、多摩川グッズの今後についてお話ください。

今後も、楽しい商品をたくさん作っていきたいですね。
もともと、利益を得るためでなく、多摩川の色んな人と繋がりたい・話をしたい、と思って作ってきたので、今後も変わらずそういう目線で企画していきたいです。
多摩川流域の人たちをつなぐ媒介として、仲間意識を育むものになっていけたらいいですね。
ある意味、多摩川グッズを作って売るということ自体、メディア的な側面もあるので、そういう意識も大事にしながら活動していきたいと思います。

最後にちょっと宣伝です。先日、多摩川グッズの新商品「多摩川ぷかぷかひのき」がリリースされました!多摩川に暮らす色々な生き物たちをかたどった、お風呂で遊ぶひのきのおもちゃです。

みなさん是非、ぷかぷかしてみてください!

次回は多摩川で開催してきたワークショップについてのインタビューを掲載予定。多摩川トークはまだまだ続きます。乞うご期待。